2023年3月に多くのニュースで取り上げられ、話題となった
フォートナイトのダークパターン問題。
連邦取引委員会(FTC)は
「ダークパターンを利用して、親の関与なしに子供に意図しない課金を促した」として、
罰金2億4500万ドル(約330億円)の支払いが命じられました。
この事件で、はじめてダークパターンという言葉を知った人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ダークパターンの内容や事例などについて紹介します。
ダークパターンとは
![](https://www.yourcuriousstory.com/wp-content/uploads/2023/08/画像2-6-1024x682.jpg)
ダークパターンは、ユーザー側に意図せずに不利益な行動を促す設計のデザインです。
具体的に、フォートナイトの運営会社となる
Epic Gamesが使用していたダークパターンを紹介します。
- わかりにくいボタン配置
- 購入確認がない
- 親の関与なしに購入可能な設定に
それぞれ詳しく見ていきましょう。
わかりにくいボタン配置
例としてPlayStationでフォートナイトをプレイした場合、
商品を見るボタンが×、商品購入が□に設定されています。
ですが、表示画面によってはその操作が逆になっていました。
このようなわかりにくいボタン配置で、意図しない購入を促していたのです。
購入確認がない
ほとんどのゲームやネットショッピングサイトでも採用されている
「商品を購入しますか?」という確認ですが、フォートナイトではこの確認もありませんでした。
これによりボタンの押し間違いなどで、
「意図しない購入を促す設計」にしていたと指摘されています。
親の関与なしに購入可能な設定に
Epic Gamesでは、アカウントと紐づけされたクレジットカード情報が
保存される設定にはじめからなっていました。
そのせいでフォートナイトでは、
ボタン1つでゲーム内通貨のV-Bucksを購入できるようになっており、
親の関与がないまま子供が購入してしまうことに…。
この設定は、COPPA 規則(児童オンラインプライバシー保護法)にも違反しています。
【ダークパターン】7つの分類と事例
![](https://www.yourcuriousstory.com/wp-content/uploads/2023/08/画像3-1024x810.png)
フォートナイトの事件で明るみになったダークパターンですが、
他にも数多くのネットショッピングサイトや課金式のゲームで採用されています。
そんなダークパターンの分類7つと事例について紹介します。
ダークパターンの分類
①:こっそり(Sneaking)
ユーザーが同意していない商品が紛れ込んでいたり、
無料と大きく宣伝しながら、実は定期契約が必須の商品だったという手法です。
よくあるのは、購入した商品のオプション商品が勝手に追加されているパターンです。
悪質な場合は、意図的に詳細を確認しないとわからないように隠されています。
②:緊急(Urgency)
不明確な期間を設定してユーザーを焦らせる手法です。
明確な期間が表示されていないまま、「セール終了まであとわずか!」
といった広告表示でユーザーを焦らせます。
③:誘導(Misdirection)
ユーザーを特定の選択肢へ意図的に促す手法です。
「私は○○しないことを、希望しません」などわかりにくい文言や、
「いいえ」のボタンをグレー表示にして選べないように錯覚させるなどが当てはまります。
④:社会的な証明(Social proof)
ほかのユーザーから人気があるように見せたり、
レビューが多いように見せてユーザーの購入判断に影響を与える手法です。
⑤:希少性(Scarcity)
商品の希少性をアピールしてユーザーの購入を促す手法です。
具体的にはカートの横などに「残り在庫3点」など表示してユーザーの購入を急がせます。
本当に人気商品で在庫がない場合は問題ありません。
⑥:障害物(Obstruction)
ユーザーの選択する行動に過度な障害を設けて、希望する選択をさせない手法です。
契約の解除時などに多く用いられ、解約が完了するまでに多くの障害を設けていたりします。
⑦:強制(Forced Action)
ユーザーが望む行動をするために、望まない行動を強制する手法です。
閲覧するためにアカウント作成が求められたり、メ
ルマガが自動的に配信されるなどのケースがあります。
もとから閲覧に登録が必要な、会員制のサイトは対象外です。
ダークパターンの事例
解約できない
先ほどの障害物に該当するケースで、登録は簡単にできる反面、
解約には非常に長い手続きが必要な場合です。
現在でも多くのサイトで使用されているダークパターンになります。
偽装広告
フリーソフトのダウンロードでよくあるケースです。
ダウンロードボタンが複数あり、
1つ以外はすべて偽装広告に繋がっているようなダークパターンになります。
中にはマルチウェアやフィッシングサイトに誘導されるものもあるので気をつけましょう。
選択の誘導
商品購入時などに自動的にメルマガなどの登録もされてしまうケースです。
国内では違法ではないので、今でも多くのサイトで利用されています。
【ダークパターン】amazonでも使用されていた?
![](https://www.yourcuriousstory.com/wp-content/uploads/2023/08/27169313_m-1024x683.jpg)
世界的なネットショッピングサイトamazonでもダークパターンが指摘され
、2023年6月21日に連邦取引委員会(FTC)に提訴されています。
日本では、月額500円で便利な配達サービスや膨大な動画コンテンツが視聴できるので、
非常にコスパが良く利用者も多いです。
一方、アメリカのamazonでは月額15.99ドルと日本とは4倍近い値段差があります。
そんな中、アメリカのユーザーを
「同意なくPrime会員に加入させるインターフェースになっている」と指摘。
さらに解約には膨大な手順を踏む必要があり、その点も指摘されています。
日本では大きな問題になっていませんが、その理由は手頃な料金設定だからだと思われます。
今後、アメリカと同じ料金設定になってしまうと、一気に不満が加速するでしょう。
まとめ
今回は、ダークパターンの内容や事例などについて紹介しました。
ダークパターンには大きく分けて7つの分類があります。
- こっそり(Sneaking)
- 緊急(Urgency)
- 誘導(Misdirection)
- 社会的な証明(Social proof)
- 希少性(Scarcity)
- 障害物(Obstruction)
- 強制(Forced Action)
日本国内でも6割以上のサイトでダークパターンが使用されているといわれています。
今回、明るみになったことで、今後の規制が強まるといいですね。